THE AVATAR WORLD 分身ロボットのあるくらし

【分身ロボットカフェのパイロット体験レポートを書いていただきました!】えみさんのレポート!

お正月も過ぎ、仕事始めを終えた人も多いのではないでしょうか。令和二年に入り、気分も一新して気分をあらためてお仕事に取り組んでいきたい気持ちです。

えみさんの体験レポート

第二期パイロットである坂本絵美さん(以下、えみさん)から体験レポートをいただきました。

えみさんの体験レポートはこちら。

分身ロボットカフェにパイロットとして参加して、本当にたくさんの喜びがありました。想像していた何倍もエキサイティングな体験が待っていて。

長文になりますが、ご覧いただけると幸いです。

【たくさんの喜び】

東京で再び、働けた!

私は、自宅は東京にありますが、拘束型心筋症という心臓の難病を治療するため、遠く離れた大阪府内の病院に、ひとりで入院しています。以前は持病がありながらも、どうにか働いていましたが、病状が進行したため、2015年から(途中で半年間の退院が叶っただけで)ずっと入院生活が続いています。

カフェの期間中、375キロ離れた病院から、毎日、出勤しました。

東京で働くのは5年ぶりのことでした。働けたことも、再び東京の地を踏めたことも、感慨深かったです。

久しぶりの仕事で、初日は、とにかくガチガチに緊張していました。ですが、カフェにいらっしゃるお客様は、OriHimeに興味を持ち、優しく声をかけてくださる方々ばかりで、お客様からの質問に答えていくうちに、緊張はほぐれて、楽しく働くことができました。

②数年来、会っていなかった親友達との再会

遠方の病院に入院しているので、地元の友達となかなか会えないでいました。今回、親友達が、分身ロボットカフェにお客様として来てくれることで、数年ぶりの再会が実現。

感激しました。分身ロボットのOriHimeを通しての再会でしたが、「そこ」に一緒にいる感覚が感じられました。

③OriHime–Dで、おつかいに行けたこと

カフェの近くにあるコーヒー屋まで、200円を持って、おつかいに行きました。

東京の街を歩くのは3年ぶりで、上を見上げて、ビルを眺め、空を眺め、木々を眺め、周囲で応援してくださるお客様を眺めて。

首を動かし、さらに体を移動させることができるので、周囲を自在に見渡し、自由に歩いて行けるのです。はじめてのおつかいをする子どものような気分でドキドキしながら、コーヒー屋に行って、オリィさんに頼まれたコーヒーを買って、運んだ時の感動は忘れられません。

④最後の司会で想いを伝えられたこと

何度か司会もさせていただき、これも私にとって大きな挑戦でした。元々、あがり症で、人前で話すのは苦手な私ですが、今回のカフェでは『尻込みせずに挑戦する』を自分の目標にしていましたので、やってみることにしました。スタッフさんと、同僚のパイロット達と、司会の練習もしました。どもってしまったり、かんでしまったり、うまくいかないことも多々ありながら、迎えた最終日。私の中では、皆さまへの感謝を伝えたいという気持ちが大きくなっていました。私の担当する最後の司会の時に、少しだけお時間をいただき、ご来場をいただいたお客様・たくさんサポートしてくださったスタッフ・支えてくれたパイロット仲間達に、感謝の言葉をお伝えしました。

今までの私なら緊張してしまって、なかなかできなかったことだと思います。不思議と、OriHimeを通すと、構えることなく話すことができました。

そして、話し終わった後にお客様からいただいた「ありがとう!ありがとう!」という言葉が本当に嬉しくて、『また、あの舞台に立ちたいなぁ。』と頻繁に回想しています。

【OriHimeパイロットに挑戦した経緯】

私が、分身ロボットカフェを知ったのは、2018年の分身ロボットカフェに夫がお客さんとして参加したのがきっかけです。カフェから帰宅した夫は、すごく興奮した様子で「これだよ!OriHimeなら、また社会参加できるようになるよ!」とカフェの様子を電話で報告してきました。その後、今年のパイロット募集があるのも、夫から聞き、勧められました。当時の私の状況はというと…秋から冬にかけて、私と同じように心臓移植を待機している入院仲間達を次々と天国に見送ってしまい、気持ちが激しく落ち込んでいました。新しく何かを始めるエネルギーはなく、誰かと話をするのも辛くて、病室に引きこもる毎日でした。でも、パイロットの締め切りが刻々と近づいてくると、やっぱり気になる。もしかしたら、応募することで、今の落ち込みから少し浮上できるのではないか。そう思って、とりあえずエントリーシートを作ってみることにしました。病院のベッドに寝たまま、スマホで少しだけ文章を打ってみると「再び社会参加したい!」「長期入院は社会から隔絶されている。」自分でもびっくりするくらい、書きたいことが溢れてきました。エントリーシートを作り終えたら、それだけで気持ちが少し晴れていましたし、面接をして採用通知をいただく頃には、すっかり前向きな気持ちになっている自分がいました。

入院中で社会から忘れられた存在と思っていた自分が、パイロットとして選ばれたことは、言い表すことができない程、嬉しい出来事でした。

【長期入院の現実】

冒頭に書いたように、拘束型心筋症という心臓の難病を患っていて、心臓移植の待機をしています。現在の日本では多くの方が、補助人工心臓という機械を体内に埋め込んで、弱った心臓の代わりに機械に肩代わりをしてもらいながら、移植を待機します。私も、補助人工心臓を装着しています。調子が良い時は、補助人工心臓を装着した状態でも、自宅に帰って待機することができますが、入退院を繰り返したり、私のように移植を受けるまで病院から出られない患者もいます。長期入院中に働くということが、病院スタッフから、どう受け取られるか不安に感じていました。1日4回の点滴交換、1日3回の検温、外科医による創部の処置という治療スケジュールがあるので、勤務シフトに合わせて、その時間を融通してもらえるのかも心配でした。しかし、実際には、医師も看護師達も、大変協力的で、応援をしてくださいました。「いつもの坂本さんより、表情も生き生きして元気そう!」「長期入院中の患者さんで、気持ちが落ち込んでしまう方も多いけど、生きがいを見つけるのが大切だと改めて思った。」と言ってくださる看護師もいました。

心臓移植の待機は、現在は約5年ぐらいかかります。いつ移植の順番が来るかわからないので、本人のみならず、介助者(補助人工心臓を装着中は、取り扱いの試験に合格した家族が24時間、一緒にいなければなりません。それを介助者と呼びます)の負担がすごく大きいです。家で出来る仕事なら、心臓移植の待機者や、その介助者も可能かもしれないと、今回働いてみて、思いました。OriHimeを使った働き方が、どんどん世の中に広がっていくことを願っています。

えみさんのご主人が2018年のカフェを体験して「これだ!」とえみさんにご紹介いただいたことが縁でパイロットになっていただきました。

10月のカフェでは毎日出勤していただき、スタッフも他のパイロットも心の支えとなっていただきました。12月のカフェではご主人も実際にカフェのお客様として体験していただき、遠隔リモートで働くえみさんの活躍を見ていただきました。

オリィ研究所では今後もえみさんのような難病患者でも働くことができることをアピールしていき、活動の輪を広げていきたいと思います。

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