パイロットインタビューNo.1さえちゃん

分身ロボットカフェ第1回目からOriHimeパイロットとして活躍していて、最近では朗読やリーディングシネマなど、OriHimeで演劇の分野にも挑戦しているさえちゃん。
今回はさえちゃんに「テレビ通話とOriHimeの違い」や、「生身とOriHimeの違い」など、さえちゃんだからこそ感じている「OriHimeでのコミュニケーションの特徴」について伺いました。

テレビ通話とOriHimeの違いはどんなところにあると思いますか?

質問にお答えする前に前提としてお伝えしておきたいのですが、人の体や感覚は一人ひとり違うと思いますので、あくまで「私個人のケース」ということでお話しできればと思います。

「テレビ通話」と「OriHimeの違い」は、とてもよく聞かれます。
結構体感的なもので難しくて、普段は「経験してみてください」としか言えていないです。

今の私がOriHimeで使ってみて感じることは、話す先である相手側の空間にOriHimeという物体が物理的にいるというところに大きな違いがあります。
OriHimeがいる相手側の空間や空気を共有している感覚が、テレビ通話よりありますね。
オンラインでありながらOriHimeを介することによって、相手側との空間の連続性や相手との接続感がより強まると思います。

OriHimeでリアクションをダイレクトに伝えることによって「空気の揺らぎ」が起こっているのでは、と考えてもいます。
リアクションをするOriHimeと相手が同じ空間にいてこそ、OriHimeである「自分の存在」が完成されるんです。
テレビ通話のように部屋に一人きりだと、やっぱり不完全な気がします。

生身で出かける時とOriHimeで出かける時の違いで感じることはありますか?

生身の方は体に直に刺激や雰囲気を感じるので、身体感覚的にとてもリアルです。
ただ私の場合は病気の性質上、光・音・においなどの外的な刺激にすごく弱いので、生身で外に出ることが必ずしも良いとは言えません。
外出が体調不良につながることも多いです。

しかし、OriHimeで出かけるときは身体感覚的な面では直接刺激を受けません。
例えばOriHimeを操作している端末のスピーカーの音量を調節することによって、受け取る情報量を自分の体に合わせて変えることもできます。
そうすることによって、自分の「心地よい感じ」を増幅することができるんですよね。

生身で直接誰かと会ったり遊びに行ったりすると嬉しさや楽しさを感じますが、刺激によって体調不良になってしまい、楽しさが邪魔されてしまいます。
OriHimeだと邪魔されることがすごく少なく、楽しめることが多い気がします。

OriHimeに入っている時は、脳のどこかで楽しみ方の感覚のスイッチを無意識に切り替えている感じがします。
生身だとその場の空気に体で対応することに精一杯ですが、OriHimeの時は生身の自分の体が多少疎かになっても、OriHimeがいる相手側のリアルな空間を体験することを重視できます。
想像力や今までの体感的な経験を脳の中で総動員させて、OriHimeから入ってくる情報と組み合わせて感覚的な部分を楽しんでいます。

生身で外に出ると倒れてしまうこともありますが、OriHimeだとその場ですぐ横になったりログアウトしたりすることもできるので、ちょっと冒険もできます。

最終的にはやっぱり生身で外に出たいという気持ちは変わらないです。
どんなにOriHimeが便利でOriHimeでしか味わえないことがあっても、生身で出かけることを手放したり諦めたりはしたくないと思っています。

OriHimeだからこそ行ってみたいところ、体験してみたいことはありますか?

病気の影響で環境変化・刺激・ストレスにすごく弱く外出するのが難しいので、生身ではできないような体験をしてみたいです。

ジェットコースター、サーフィン、スカイダイビング、バンジージャンプ、海外旅行などをしてみたいと思います。飛行機、電車、新幹線、気球などにも乗ってみたいですね。

普段の生身の体では耐えられない刺激的なことをやりたいです。
OriHime越しでも酔ったり具合悪くなったりするかもしれないですが、リアリティと身体感覚の加減が調節可能なOriHimeでぜひ体験してみたいです。