分身ロボットカフェの挑戦 #03「夢を叶える! 寝たきりの、次世代女子大生」

「分身ロボットカフェDAWN」は、様々な事情で外出困難なパイロットたちが、遠隔操作型の分身ロボット「OriHime」「Orihime-D」を操作し、自宅にいながら接客の仕事をするプロジェクト。2018年から4回の短期開催を経て、2021年6月、この「分身ロボットカフェDAWN」が、ついに”常設店”としてオープンすることになりました。この記事では、パイロットとしてカフェで働いてきたメンバーの経験を紹介します。

●今回お話を聞いたパイロット

「分身ロボットカフェDAWN」パイロット
中島寧音(ねね)さん

福岡在住、18歳。脊髄性筋萎縮症(SMA)という徐々に体の筋力が衰えていく指定難病の診断を受け、ほぼ寝たきりの状態。高校2年生のときに、分身ロボットカフェのパイロットとして働く。その後、大学受験に挑戦し、見事合格。2021年4月から大学に通い、福祉の勉強をする。
 

今回お話を聞いた内容のインタビュー動画です。ぜひご覧ください。

”夢”はあっても、漠然と。どうしたらいいかわからなかった。

ーねねさんは、見事、大学受験に合格し、春から大学生だそうですね! おめでとうございます!

ねねさん(以下ねね):ありがとうございます! 本当に嬉しかったです。父も母もとても喜んでくれて、「これからがんばろうね」って話をしています。

ー大学では、どのような勉強をするのですか? 

ねね:社会福祉について学ぶ予定です。私自身が、福祉制度について知らないことがあり、困ったこともあったので、他にも同じように困っている人の力になれる知識を身につけたいと思い、大学受験をしました。

太宰府天満宮へ合格祈願にも行った。

ー大学に行きたいと思ったのはいつ頃からですか?

ねね:中学生ぐらいの頃から考えていましが、そのときは社会福祉ではなく、別の勉強をしたいと思っていました。将来の夢とかも、漠然とはありつつ、どうしたらいいのか自分でもわからなくて……。「社会福祉の勉強がしたい!」と目標が具体的になったのは、高校2年生のとき「分身ロボットカフェ」に参加してからです。

福岡から”寝たきり”のまま、OriHimeを使って東京でアルバイト! 

ー高校2年生のときに、寝たきりのまま「分身ロボットカフェ」に参加されたと聞きました。

ねね:はい。「接客業」を、それも、遠く離れた「東京」でできるなんて、思っていませんでした。アルバイト自体もはじめてでした! 今まで思いつかなかったような社会参加の仕方があるんだなと驚きました。

OriHime-Dを使って「分身ロボットカフェ」でアルバイトをするねねさん。
OriHime-Dの操作は、福岡の自宅から、パソコンやタブレットを使って行っている。

ー「分身ロボットカフェ」の経験は、どのようにして「社会福祉を学ぶ」目標へとつながっていったのですか?

ねね:OriHimeで接客をして、お客様が「楽しかった!」と笑顔になってくださると、とっても嬉しくて! 体は動かなくても、誰かと話をするなど、自分にできることを見つけて、もっと誰かの役に立ちたいな……という気持ちになっていきました。そうやって、「自分ができること」を考える中で、社会福祉を学びたいと思うようになっていきました。

ーなるほど。まさに、「ねねさんだからできること」を見つけたのですね。

ねね:はい。OriHimeを通して、いろいろな人と出会い、障害がありながら挑戦されている方々の姿もたくさんみてきました。私も、自分なりにできることに挑戦したいなと、漠然としていた将来に対する考えが、具体的なものへと変わっていきました。

将来の夢は「社会福祉士」

ー大学のその先、ねねさんの将来の夢を教えてください。

ねね:社会福祉士になって、私と同じような境遇の方で悩みを抱えている方や、高齢者の方や、子供達など、幅広い人の不安に感じていることを、解決していきくことが夢です!まだまだ、勉強不足なのですが、自分の経験ももとにしながら、困難を抱えている方たちの力になれるように、サービスを提案していけるようになりたいです。

ー夢への一歩を踏み出されたのですね。

ねね:大学での勉強はもちろん、大学で実施している子ども食堂のお手伝いもしたいと考えていて、それも楽しみです。配膳のお手伝いは難しくても、子どもたちの話を聞いてみたりしたいです。分身ロボットカフェでの経験が自信になっています!

ーねねさんは、今後どんな社会をつくっていきたいですか?

ねね:OriHimeが、学校や店舗などに導入されたというニュースを耳にすることが増えてきました。障害のある方や、外出がなかなできない方が社会に参加することが、「ニュース」として取り上げられるのではなく、「当たり前」になっていくといいなと思います。


家から出られなくてもOriHimeを使って、雪の積もった庭を眺めて楽しむねねさん

ーねねさん、ありがとうございました! 最後に、6月から常設店になる「分身ロボットカフェDAWN ver.β」への意気込みをお願いします!

ねね:今回も、パイロットとして参加予定です。引き続き、お客様が笑顔になってくれるよう、コミュニケーションを大事にして接客をしていきたいです!ぜひ遊びにきてください! 私もとても楽しみにしています!

「分身ロボットカフェDAWN ver.β」の常設実験店については公式サイトをご覧ください。
https://dawn2021.orylab.com/

ねねさんのTwitterアカウント↓

(取材/文 いずみの編集室)